Dividimus muros et moenia pandimus urbis.

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ウェルギリウス

語彙と文法

「ディーウィディムス・ムーロース・エト・モエニア・パンディムス・ウルビス」と読みます。
dīvidimusは「切り開く」を意味する第3変化動詞dīvidō,-ere の直説法・能動態・現在、1人称複数です。
mūrōsは「城門」を意味する第2変化男性名詞mūrus,-ī m. の複数・対格です。
moeniaは「城壁」を意味する第2変化中性複数名詞moenia,-ōrum n.pl. の対格です。
pandimusは「開ける」を意味する第3変化動詞pandō,-ere の直説法・能動態・現在、1人称複数です。
urbisは「都」を意味する第3変化名詞urbs,urbis f. の単数・属格です。moeniaにかかります。
「我々は城門を切り開き、都の城壁を開け放つ」と訳せます。
ウェルギリウスの『アエネーイス』に見られる表現です(Aen.2.234)。
この行為が何を意味するのか、トロイア戦争のことをご存じならピンとくるはずです。
背景を少しだけ訳でご紹介します。

diuidimus muros et moenia pandimus urbis.
accingunt omnes operi pedibusque rotarum 235
subiciunt lapsus, et stuppea uincula collo
intendunt; scandit fatalis machina muros
feta armis. pueri circum innuptaeque puellae
sacra canunt funemque manu contingere gaudent;
illa subit mediaeque minans inlabitur urbi. 240

われわれは城門を開け、都の城塞を開け放った。
全員で仕事に取り掛かる。馬の足の下には
それを動かす車輪を敷き、首からは麻くずの帯を
引っ張った。この運命の仕掛けは武器をいっぱいに詰め込んで
城を登った。その周りで少年たちと結婚前の乙女たちは
神聖な歌を歌い、嬉々として綱を手にした。
木馬は城を登り、威嚇するように都の中心にすべり降りた。

馬というのはオデュッセウスが考案した「木馬」のことです。

アエネーイス (西洋古典叢書)
ウェルギリウス
京都大学学術出版会
ウェルギリウス

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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