Medio tutissimus ibis.

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「メディオー・トゥーティッシムス・イービス」と発音します。
動詞は ībis で、不規則変化動詞 eō,īre(行く)の直説法・能動態・未来、2人称単数です。
主語は示されていませんが、動詞の形からtū(あなたは)が省略されていることがわかります。
tūtissimus は「安全な」を意味する第1・第2変化形容詞 tūtus,-a,-um の最上級で、男性・単数・主格です。
この形容詞は、ībis から想定される2人称・単数の主語、tūと性・数・格が一致することになり、直訳すると、「あなたはもっとも安全な者として」と訳せます。日本語らしくすると、「もっとも安全に」と副詞的に訳します(「形容詞の副詞的用法」)。
mediō は第1・第2変化形容詞 medius,-a,-um の中性・単数・奪格で、名詞的に使われています(「場所の奪格」)。
「真ん中において」という意味になります。
「あなたは真ん中において(真ん中の道を)もっとも安全に行くでしょう。」と訳せます。
ībisの未来形を穏やかな命令ととって、「・・・行くがよい」と訳しても構いません。
一般には、aurea mediocritas(黄金の中庸)と同様、中庸を旨とするのがもっとも安全である、という意味で理解されます。
しかし、この一文の出典はオウィディウスの『変身物語』(2.137)であり、そこでは、太陽神が息子パエトンに太陽の馬車を操縦することを許した際の忠告の言葉として語られます。つまり、高すぎず、低すぎず、中間を行くのがもっとも安全である、と言われるのです(が、父の忠告もむなしく、パエトンは操縦を誤り命を落とすのでした。)

オウィディウス 変身物語〈上〉 (岩波文庫)
オウィディウス Publius Ovidius Naso

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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