語彙と文法
「ドゥム・スピーロー・スペーロー」と読みます。
dumは「~の間」という意味の接続詞です。
spīrō は「息をする」を意味する第1変化動詞spīrō,-āre の直説法・能動態・現在、1人称単数です。
spērō は「希望を持つ」を意味する第1変化動詞spērō,-āre の同じ形(直説法・能動態・現在、1人称単数)です。
発音すると音の響き(sp、rōの反復)が美しく聞こえます。
訳は「私は息をする間、希望を持つ」となります。すなわち、「生きる限り、希望をもつことができる。」(=死んだら希望などもてない。)という意味です。
感想と補足
この言葉を思い出すたびいろいろなことを考えます。「手を止めて深呼吸せよ。希望がわくだろう。」と意訳することもできます。なお「希望」はラテン語で spēs (スペース)といいます(第5変化名詞)。spīrōの関連語です。
語順を変えた Spērō dum spīrō.の形でも知られます。意味は同じです。柳沼先生の『ギリシア・ローマ名言集』(p.104)にはこちらの形で紹介されています。サウス・カロライナ州のモットーだそうです。
ついでながら、同州のもう一つのラテン語のモットーは、Animis opibusque parati(prepared in minds and resources)(心も資材も準備のできた)です。
これはウェルギリウスの『アエネーイス』第二巻(2.799)に出てくる表現です。トロイアを脱出する心の準備も資材の準備も整っている、という意味で使われています。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] ドゥム・スピーロー・スペーローと読みます。(cf:山下太郎のラテン語入門)最初に現れるDUMは、接続詞です。手元の羅和辞典(研究社羅和辞典、以下同)によると、この言葉の意味は […]
[…] ergo sum. 私は考える。ゆえに、私は存在する。 Dum spīrō, spērō.(私が)息をする間は、希望がある。 Aquila nōn captat […]