Causa latet.

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ディードー
自害するディードー

語彙と文法

「カウサ・ラテト」と読みます。
causa は「原因、理由」を意味する第1変化名詞causa,-ae f. の単数・主格です。英語のcauseの語源です。
latet は「隠れる」を意味する第2変化動詞 lateō,-ēre の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
「原因は隠れている」と訳せます。
真の原因は不明のまま闇の中に閉ざされているという意味です。
ウェルギリウスの『アエネーイス』(5.5)に出てくる表現です。ただし、原文の構文はもう少し複雑です(マクロン省略)。

quae tantum accenderit ignem
causa latet;

直訳は、「いかなる(quae)原因が(causa)これだけ大きな(tantum)炎を(ignem)燃え上がらせたかは(accenderit)不明である(latet)」となります。

間接疑問文中ゆえ、accenderit は接続法(・能動態・完了)になっています。

カルタゴの女王ディードーの死に関係した表現です。「炎」は彼女の愛とも憎悪とも受け取れます。主人公(アエネーアース)は自分が彼女の自殺の原因であると気づいていない。背景については邦訳をお読みください。

アエネーイス (西洋古典叢書)
ウェルギリウス
京都大学学術出版会
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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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