Duas tantum res anxius optat, panem et circenses.

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「ドゥアース・タントゥム・レース・アンクシウス・オプタト・パーネム・エト・キルケンセース」と読みます。
duās は数字の2を意味する基数詞 duo,-ae,-o の女性・複数・対格です。rēs にかかります。
tantum は英語の only に相当する副詞です。「ただ、~だけ」を意味します。
rēs は第5変化名詞 rēs,reī f. の複数・対格で、optat の目的語です。
anxius は「心配している、不安な、熱心な」を意味する第1・第2変化形容詞、男性・単数・主格です。「形容詞の副詞的用法」です。「熱心に」。
optat は「求める」を意味する第1変化動詞 optō,-āre の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
pānem は「パン」を意味する第3変化名詞 pānis,-is m. の単数・対格です。
circensēs は「円形競技場の」を意味する第3変化形容詞 circensis,-e の男性・複数・対格です。ここでは名詞化され、「戦車競技」の意味で使われています。
「(民衆は)2つのものだけを熱心に求める、パンと戦車競技を」と訳せます。
ユウェナーリスの『風刺詩』(10.80-81)にみられる言葉です。

「パンとサーカス」という言葉を耳にすることがあると思いますが、そのもとになる表現は表題の言葉です。circensēsは厳密にはCircus Maximusで行われた戦車競技を指しますが、「見世物」と意訳してもよいでしょう。

ローマ諷刺詩集 (岩波文庫)
ペルシウス, ユウェナーリス
岩波書店

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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