Cantabit vacuus coram latrone viator.

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Camtabit vacuus coram latrone viator.

語彙と文法

「カンタービト・ウァクウス・コーラム・ラトローネ・ウィアートル」と読みます。
cantābit は「歌う」を意味する第1変化動詞 cantō,-āre の直説法・能動態・未来、3人称単数です。
vacuus は「空の、一文なしの」を意味する第1・第2変化形容詞 vacuus,-a,-um の男性・単数・主格です。viātorにかかります。
cōram は「<奪格>の面前で」を意味する前置詞です。
latrōne は「泥棒」を意味する第3変化名詞 latrō,-ōnis m. の単数・奪格です。cōramがこの奪格を要求します。
viātor は「旅人」を意味する第3変化名詞 viātor,-ōris m.の単数・主格です。この文の主語です。
直訳は「一文なしの(vacuus)旅人は(viātor)泥棒(latrōne)の前で(cōram)歌うだろう(cantābit)」となります。
ローマの風刺詩人ユウェナーリスの詩句です(Juv.10.22)。

訳例

「一文無しの旅人は、道中で追いはぎを相手に、歌のひとつも歌えよう」(柳沼重剛訳、『ギリシャ・ローマ名言集』)。

失うものが何一つない気安さ、気楽さを述べた詩句です。Mens sāna in corpore sānō.の詩の中に出てくる表現です。『ギリシャ・ローマ名言集』9番目のラテン語です。
ローマ諷刺詩集 (岩波文庫)
ペルシウス, ユウェナーリス
岩波書店

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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