Calamitas virtutis occasio est.

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語彙と文法

「カラミタース・ウィルトゥーティス・オッカーシオー・エスト」と読みます。
calamitās は「災難」を意味する第3変化名詞 calamitās,-ātis f. の単数・主格です。この文の主語です。
virtūtis は、同じく第3変化名詞 virtūs,-ūtis f.「勇気」の単数・属格で、occāsiōにかかります。

文法的にはcalamitāsにかけることも可能です。その場合「勇気の災難は(機会である)」となり意味不明です。消去法的に考えてvirtūtisは続くoccāsiōにかけるのがよいと判断します。

occāsiō は「機会、好機」を意味する第3変化名詞 occāsiō,-ōnis f. の単数・主格で、この文の補語になっています。「災難は勇気を試す機会である」と訳せます。表題はセネカの『摂理について』に見られる言葉です(De Providentia 4.6)。この作品の訳は岩波文庫の『怒りについて』に収められています。

この文はSVCの構文です。上の説明ではCalamitāsをS、occāsiōをCとしています。ラテン語は語順が自由なので、SとCを逆にして解釈できる場合が多いです。上の文の場合、「勇気の(virtūtis)機会は(occāsiō)災難(Calamitās)である(est)」となります。日本語らしく整えると、「勇気を試す機会、それは災難である」など意訳可能です。

 

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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