語彙と文法
「カラミタース・ウィルトゥーティス・オッカーシオー・エスト」と読みます。
calamitās は「災難」を意味する第3変化名詞 calamitās,-ātis f. の単数・主格です。この文の主語です。
virtūtis は、同じく第3変化名詞 virtūs,-ūtis f.「勇気」の単数・属格で、occāsiōにかかります。
文法的にはcalamitāsにかけることも可能です。その場合「勇気の災難は(機会である)」となり意味不明です。消去法的に考えてvirtūtisは続くoccāsiōにかけるのがよいと判断します。
occāsiō は「機会、好機」を意味する第3変化名詞 occāsiō,-ōnis f. の単数・主格で、この文の補語になっています。「災難は勇気を試す機会である」と訳せます。表題はセネカの『摂理について』に見られる言葉です(De Providentia 4.6)。この作品の訳は岩波文庫の『怒りについて』に収められています。
この文はSVCの構文です。上の説明ではCalamitāsをS、occāsiōをCとしています。ラテン語は語順が自由なので、SとCを逆にして解釈できる場合が多いです。上の文の場合、「勇気の(virtūtis)機会は(occāsiō)災難(Calamitās)である(est)」となります。日本語らしく整えると、「勇気を試す機会、それは災難である」など意訳可能です。
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