
語彙と文法
「アエクゥァト・オムネース・キニス」と読みます。
aequat は「等しくする」を意味する第1変化動詞 aequō,-āre の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
omnēs は「すべて」を意味する第3変化形容詞 omnis,-e の男性・複数・対格です。名詞的に用いられ、「すべての人々を」と訳せます。
cinis は「灰」を意味する第3変化名詞 cinis,-neris c.の単数・主格です。
「灰はすべての人々を同じにする」と訳せます。
「灰になれば人に違いなし」という意味です。
セネカの『倫理書簡集』に見られる言葉です(Ep.91,16).

補足
この書簡はルグドゥーヌム(今のリヨン)が大火に焼け落ちた報せを受けたところから始まります。世の無常をかみしめていくつもの心に響く言葉を残しています。
8節より:あらゆる事態を考慮し、起こりうることに対して確固たる心構えを保たねばならない。追放、拷問、[病気、]戦争、難破を思いめぐらしたまえ。偶然が国家から君を、君から国家を奪い去ることもありうる。君を無人の荒野に追いやることも、群衆の雑踏で窒息しそうな状況自体が荒野の孤独になることもありうる。
13節より:しばしば損害がより大いなる幸運への道を拓く。
14節:この(ルグドゥーヌムの)都においてもまた、人々はこぞって失ったもの以上に偉大な卓越したものを再建しようと競い合うに違いない。どうか、それが末永く存続し、いっそう幸先よき予兆のもとにさらに長い歴史を刻むべく建設されますように!
21節:死が私たちの支配下にある時、私たちは何ものにも支配されることがない。
類似表現
Expende Hannibalem. ハンニバルを秤にかけよ。
文献案内
岩波書店からセネカの『倫理書簡集』の翻訳が出ています。









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