Expende Hannibalem.

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Expende Hannibalem.

語彙と文法

「エクスペンデ・ハンニバレム」と読みます。
expende は「秤で重さをはかる、評価する」という意味の第3変化動詞 expendō,-ere の命令法・能動態・現在、2人称単数です。
Hannibalem は固有名詞 Hannibal,-alis m. の単数・対格です。(注意)単数・属格のaは「短い」母音です。
「ハンニバルを秤にかけよ」という意味です。

補足説明

ハンニバルはローマを脅かしたカルタゴ最大の武将ですが、彼のような大人物も死んで灰になる。その重さがどれほどのものか、はかってみよ、という趣旨の言葉です。ローマの風刺詩人ユウェナーリスの言葉です。

キケローは国家的危機の到来を「ハンニバルが門口まで迫った」(Hannibal erat ad portās.)と表現しました(『ピリッピカ』1.11)。

日本語に「起きて半畳寝て一畳、天下取っても二合半」という言葉があり、それを思い出します(人間が生活するのにそれほど多くのものはいらないという意味)。

表題から人生の無常に思いをはせてもよし、世俗的な物欲を戒める言葉として受け取めてもよし、ですね。
ローマ諷刺詩集 (岩波文庫)
ペルシウス, ユウェナーリス
岩波書店
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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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