語彙と文法
「エクスペンデ・ハンニバレム」と読みます。
expende は「秤で重さをはかる、評価する」という意味の第3変化動詞 expendō,-ere の命令法・能動態・現在、2人称単数です。
Hannibalem は固有名詞 Hannibal,-alis m. の単数・対格です。(注意)単数・属格のaは「短い」母音です。
「ハンニバルを秤にかけよ」という意味です。
補足説明
ハンニバルはローマを脅かしたカルタゴ最大の武将ですが、彼のような大人物も死んで灰になる。その重さがどれほどのものか、はかってみよ、という趣旨の言葉です。ローマの風刺詩人ユウェナーリスの言葉です。
キケローは国家的危機の到来を「ハンニバルが門口まで迫った」(Hannibal erat ad portās.)と表現しました(『ピリッピカ』1.11)。
日本語に「起きて半畳寝て一畳、天下取っても二合半」という言葉があり、それを思い出します(人間が生活するのにそれほど多くのものはいらないという意味)。
表題から人生の無常に思いをはせてもよし、世俗的な物欲を戒める言葉として受け取めてもよし、ですね。
コメント