Amor omnia vincit.

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語彙と文法

「アモル・オムニア・ウィンキト」と読みます。
Amorはamor,-ōris m.(愛、恋、<大文字で>愛の神)の単数・主格です。文の主語です。
omniaは第3変化形容詞omnis,-e(すべての)の中性・複数・対格です。名詞的に用いられ(「形容詞の名詞的用法」)、「すべてのものを」を意味します。vincitの目的語です。
vincitはvincō,-ere(打ち勝つ、征服する)の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
「愛はすべてに打ち勝つ」とも「愛の神はすべてを征服する」とも訳せます。
表題は、ウェルギリウスの詩に見られるOmnia vincit Amor.(愛の神はすべてを征服する)の語順を変えたものです。
原文でAmorは大文字で書かれ「愛の神」(クピードー)を意味します。
原文を離れ、一つの表現として受け止めるとき、「愛はすべてに打ち勝つ」という前向きな意味で理解することも可能です。

Amor omnia vincit.の語順だとAmorかamorかの区別をあいまいにすることができます。本来の語順でも OMNIA VINCIT AMOR とすれば「Amorかamorか?」問題はぼかすことが可能です。上に「原文でAmorは大文字」と書きましたが、厳密にいえばオリジナルの写本は大文字のみです。「現在読める形で流布しているウェルギリウスのテクストに照らすとAmorは大文字」という趣旨です。
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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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