語彙と文法
「テンプス・エスト・クゥァエダム・パルス・アエテルニターティス」と読みます。
tempusは「時間」を意味する第3変化中性名詞tempusの単数・主格です。
quaedamは「或る」を意味する不定形容詞quidam,quaedam,quoddamの女性・単数・主格です。parsにかかります。
parsは「部分」を意味する第3変化女性名詞、単数・主格です。
aeternitātisは「永遠」を意味する第3変化名詞aeternitās,-ātis f.の単数・属格です。parsにかかります。
直訳は「時間は、永遠のある部分である」となります。
キケローの『想案論』に見られる言葉です(De Inventione, 1.39)。
「永遠は幾多の今からできている」
表題のラテン語(Tempus est quaedam pars aeternitatis.)は、某大手時計メーカーの時計に刻まれているようです。その時計の名前DECORも優美を意味するラテン語ですね。
tempusは「時間」ですが、キケローは我々が日々経験する時間が永遠を構成している点を指摘しています。瞬間は時間を構成しています。よって三段論法的に、「瞬間は永遠を構成する」といえるでしょう。
これをふまえ、私自身は表題の言葉を「一瞬は永遠の一部なり」という日本語で理解したいと思います。
エミリー・ディキンソンに「永遠は幾多の今からできている」(Forever is composed of nows.)という言葉があります。
キケローのこの表現を知っていたのかもしれません。
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