Nec spe nec metu.

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語彙と文法

「ネク・スペー・ネク・メトゥー」と読みます。
necは「~でない」を意味する副詞です。
nec A nec Bは「AでもなくBでもない」という意味を表します。
spēは「希望」を意味する第5変化名詞 spēs,-eī f.の単数・奪格です。
metūは「恐怖」を意味する第4変化名詞 metus,-ūs m.の単数・奪格です。
「希望も恐怖もなく」と訳せます。
凝縮された表現ですが、「希望も恐怖もなく私は生きる(vīvō)」、あるいは「希望も恐怖もなく生きること(vīvere)」を表す言葉かと思われます。
出典不明の表現です。

セネカが口にしそうな言葉ではありますね。

関連表現

Spem metus sequitur. 恐怖が希望の後を追う(セネカ)という言葉を想起します。セネカは希望を捨てれば恐怖はなくなると述べています。もちろんセネカはすべての希望を否定するのではなく、Nē gaudeās vānīs.(無益なことを喜ばぬように)とくぎを刺し、希望の中身を問題にしています。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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