語彙と文法
「ネク・スペー・ネク・メトゥー」と読みます。
necは「~でない」を意味する副詞です。
nec A nec Bは「AでもなくBでもない」という意味を表します。
spēは「希望」を意味する第5変化名詞 spēs,-eī f.の単数・奪格です。
metūは「恐怖」を意味する第4変化名詞 metus,-ūs m.の単数・奪格です。
「希望も恐怖もなく」と訳せます。
凝縮された表現ですが、「希望も恐怖もなく私は生きる(vīvō)」、あるいは「希望も恐怖もなく生きること(vīvere)」を表す言葉かと思われます。
出典不明の表現です。
セネカが口にしそうな言葉ではありますね。
関連表現
Spem metus sequitur. 恐怖が希望の後を追う(セネカ)という言葉を想起します。セネカは希望を捨てれば恐怖はなくなると述べています。もちろんセネカはすべての希望を否定するのではなく、Nē gaudeās vānīs.(無益なことを喜ばぬように)とくぎを刺し、希望の中身を問題にしています。