Ebrietas ut vera nocet, sic ficta juvabit.

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「エーブリエタース・ウト・ウェーラ・ノケト・シーク・フィクタ・ユウァービト」と読みます。
ēbrietās は「酩酊」を意味する第3変化名詞ēbrietās,-ātis f.の単数・主格です。
ut は「~のように」と訳せます。sīc (そのように)がut以下を受けます(ut以下のように、そのように)。
vēra は「真の、本物の」を意味する第1・第2変化形容詞 vērus,-a,-um の女性・単数・主格です。ēbrietās にかかります。
nocet は「害を為す」を意味する第2変化動詞noceō,-ēre の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
sīc は「そのように」を意味します。ut 以下を指します。
ficta は「つくる」を意味する第3変化動詞fingō,-ere の完了分詞 fictus,-a,-um の女性・単数・主格です。「つくられた」という意味になります。この文では sīc 以下の文の主語として ēbrietās (酩酊)を考えることができ、その ēbrietās を ficta が修飾します。この場合、「つくられた酩酊は」と訳せますが、「つくられた」とは「装われた、偽りの」という意味を持ちます。前半の vēra (真の)と対比されています。
juvābit は「助けになる、役に立つ」を意味する第1変化動詞juvō,-āre の直説法・能動態・未来、3人称単数です。
「本物の酩酊が害を為すように、偽りの酩酊は役に立つだろう」と訳せます。
言わんとすることは、「本物の酩酊は害を為すが、偽りの酩酊(=酔ったふりをすること)は助けになる」ということです。
ローマの恋愛詩人オウィディウスの『恋の技術』(1.597)に見られる表現です。

オウィディウス

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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