Imperare sibi maximum imperium est.

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Seneca
セネカ

「インペラーレ・シビ・マクシムム・インペリウム・エスト」と読みます。
imperāre は、「<与格>を支配する」を意味する第1変化動詞imperō,-āreの不定法・能動態・現在です。「命令することは」と文の主語になります。
sibi は3人称の再帰代名詞 suī(自分) の単数・与格です。
imperāre を併せて「自分自身を支配することは」となります。
maximum は「大きい」を意味する第1・第2変化形容詞magnus,-a,-umの最上級、中性・単数・主格で imperium にかかります。
imperium は「支配」を意味する第2変化名詞 imperium,-i n.の単数・主格で、この文の補語になります。
est は、不規則動詞 sum の直説法・現在、3人称単数です。
「自分自身を支配することは最大の支配である」、「自分に命令することが最大の命令である」という意味になります。
セネカの『倫理書簡集』に見られる言葉です(Ep.113.30)。

セネカ哲学全集〈6〉倫理書簡集II
セネカ Seneca
4000926365

言葉の解釈

セネカはわざと重々しい言葉を使っています。「支配する」とは「統治する」ということ。統治する人はラテン語でインペラートルと呼ばれ、ローマ帝国でいえば皇帝のことです(後のエンペラーの語源)。

したがって、「最大の支配」という言葉を聞くと、ローマ人ならだれもが皇帝の支配権をイメージしたでしょう。ところが、この文で言われる「最大の支配」とはちっぽけな(?)自分の支配ということです。

「自分を支配することはけっして小さいことではない。全世界を支配すること以上に偉大なことだ」というのがセネカのメッセージではないでしょうか。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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