「パウロー・マイヨーラ・カナームス」と読みます。
paulō は「少し」を意味する副詞です。
mājōra は「より大きな」を意味する第1・第2変化形容詞 magnus,-a,-um の比較級 mājor,-usの中性・複数・対格です。
canāmus は「歌う」を意味する第3変化動詞 canō,-ere の接続法・能動態・現在、1人称複数です。
この接続法は1人称の「意思」を表します。
「私たちは少し大きなことを歌おう」と訳せます。
韻文の場合しばしば1人称複数が1人称単数の代用となることがあり、この文も文脈に照らすとその例だとわかります。「私は少し大きなことを歌おう」と訳します。
ウェルギリウスが『牧歌』第4歌の冒頭で述べた言葉です。牧歌のジャンルに関連付けて「大きなテーマ」を扱うという宣言です。その内容は、やがてローマに黄金時代が訪れるといういささか予言めいたものとなります。
牧歌/農耕詩 (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 小川 正広
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] A. 詩の中でよく出てきます。ローマを代表する詩人ウェルギリウスは、『牧歌』第4歌の冒頭で、Paulō majōra canāmus.と宣言しています。canāmusは一人称複数の形ですが、この文脈での主語は一人称単数(詩人その人)と考えられるので、「より大きなことを私は歌おう」と訳します。 […]