語彙と文法
「イグノーティー・ヌッラ・クピードー」と読みます。
ignōtīは「知られていない、未知の」を意味する第1・第2変化形容詞 ignōtus,-a,-umの中性・単数・属格です。この文では名詞的に用いられています。この属格は「目的語的属格」で「未知のものに対する」を意味し、cupīdōにかかります。
nullaは英語のnoに相当する代名詞的形容詞nullus,-a,-um(ない)の女性・単数・主格です。cupīdōにかかります。
cupīdōは「欲望」を意味する第3変化名詞cupīdō,-dinis m.の単数・主格です。
「未知のものにはいかなる欲望も生じない」と訳せます。
オウィディウスの『恋の技法』に見られる表現です(Ov.A.A.3.397)
ignōtīは「目的語的属格」と呼ばれる用法です。「属格のさまざまな用法」で具体例を挙げて説明しています。
恋の技法 (平凡社ライブラリー)
オウィディウス Publius Ovidius Naso