語彙と文法
「ヌッルム・シネ・エクシトゥー・イテル・エスト」と読みます。
nullumは英語のnoに相当する代名詞的形容詞 nullus,-a,-um(ない)の中性・単数・主格です。iterにかかります。
sineは「~なしの」(英語のwithout)を意味する前置詞で、奪格を取ります。
exitū は「出口、終わり」を意味する第4変化名詞 exitus,-ūs の単数・奪格です。
sine exitūで「終わりのない」を意味する形容詞句を作り、iterにかかります。
iterは「旅」を意味する第3変化名詞iter,itineris n.の単数・主格です。
「終わりのない旅はない」と訳せます。
セネカの言葉です(Ep.77.13)。
人生を旅にたとえています。これもメメントモリ(死ぬことを忘れるな)のモチーフといえます。
文献案内
セネカ哲学全集〈5〉倫理書簡集 I
兼利 琢也