Merentem laudare justitia est. 巧言令色鮮し仁

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Seneca
セネカ

語彙と文法

「メレンテム・ラウダーレ・ユスティティア・エスト」と読みます。
「<不定法>に値する」を意味する第2変化動詞 mereō,-ēre の現在分詞、男性・単数・対格が merentem です。
laudāre は「ほめる」という意味の第1変化動詞 laudō,-āreの不定法・能動態・現在の形で、この文の主語になります。
justitia は「正義」を意味する第1変化名詞 justitia,-ae f.の単数・主格で、この文の補語です。
「(ほめるに)値する者を(=merentem)ほめることは(=laudāre)正しいこと(=justitia)である(=est)」と訳せます。
セネカの『倫理書簡集』に見られる言葉です(Ep.102.19)。

言葉の解釈

この言葉を読むと、逆に、「値しない者」をほめる言葉が少なくない、と感じます。このことを、孔子は「巧言令色すくなし仁」と述べたわけです。古典を読めば、時代を超えて称賛すべきものは何か、自ずと見えてきます。その結果、心がおのずと穏やかになります。似たような感覚は、幼児と接していても感じられます。無心に遊ぶ子どもの姿を見ていると、心のこわばりがとれる思いがします。これは不思議な感覚で、子どもこそ、巧言令色ぬきの世界に生きていると実感します。子どもと心を通わせる言葉のやりとりができたなら、それは本物ですね。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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