Nulla est sincera voluptas; sollicitumque aliquid laetis intervenit.

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「ヌッラ・エスト・シンケーラ・ウォルプタース・ソッリキトゥムクゥェ・アリクゥィド・ラエティース・インテルウェニト」と読みます。
nulla は代名詞的形容詞nullus,-a,-um の女性・単数・主格です。
sincera は「混じりけのない」を意味する第1・第2変化形容詞sincerus,-a,-umの女性・単数・主格です。
voluptās は「喜び」を意味する第3変化名詞voluptās,-ātis f.の単数・主格です。
sollicitum は「不安な」を意味する第1・第2変化形容詞sollicitus,-a,-umの中性・単数・主格です。
aliquid は「誰か、何か」を意味する不定代名詞aliquis,aliqua,aliquidの中性・単数・主格です。
laetīs は第1・第2変化形容詞 laetus,-a,-um (喜ばしい)の中性・複数・与格です。名詞的に用いられ、「喜ばしいもの」を意味します。「喜び」と訳してもよいですlaetitia<喜び>の複数・与格laetitiīs と同じ意味で使われています(ただし、韻律の関係でlaetitiīsは不可)。
intervenitは「<与格>の中に入り込む」を意味する第4変化動詞interveniō,-īre の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
「混じりけのない喜びはない。何か不安なものが喜ばしいもの(喜び)の中に入り込む」と訳せます。
オウィディウスの『変身物語』に見られる表現です(Ov.Met.7.453-454)。

オウィディウス 変身物語〈上〉 (岩波文庫)
オウィディウス Publius Ovidius Naso

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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