語彙と文法
「オムニア・ヌンク・リーデント」と読みます。
omnia は「すべて」を意味する第3変化形容詞 omnis,-e の中性・複数・主格です。この文の主語になります(「形容詞の名詞用法」)。
nunc は「今」を意味する副詞です。
rīdent は「笑う」を意味する第2変化動詞 rīdeō,-ēre の直説法・能動態・現在、3人称複数です。
「今万物が笑っている。」と訳せます。
この表現は、ウェルギリウスの『牧歌』に見られます(7.55)。
今自然界全体が微笑んでいるように見える、という意味で使われています。
Nunc omnia rīdent.の語順でも知られますが、ウェルギリウスの表現は Omnia nunc rident.の語順です。意味は変わりません。
山笑う
日本語の「山笑う」を想起します。『しっかり学ぶ初級ラテン語』にNunc omnia rīdent.の語順で紹介しています。この言葉について、読者から次のお便りをいただきました。
最近、感動したラテン文はnunc omnia rident.です。
読者のメールより
私の訳は「山川草木悉皆成仏」です。
ウェルギリウスの感性の鋭さに感激しました。
文献案内
ウェルギリウスの『牧歌・農耕詩』は京大学術出版会の翻訳で読むことができます。