クィンティリアーヌス『弁論術教程』第一巻2.6

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クィンティリアーヌス

クィンティリアーヌスの言葉を紹介します。どのように訳せばよいでしょうか。

Mollis illa ēducātiō, quam indulgentiam vocāmus, nervōs mentis et corporis frangit. 

語彙と文法

Mollis: 第3変化形容詞mollis,-e(柔弱な)の女性・単数・主格。
illa: 指示形容詞ille,illa,illud(あの)の女性・単数・主格。ēducātiōにかかる。
ēducātiō: ēducātiō,-ōnis f.(教育)の単数・主格。
quam: 関係代名詞quī,quae,quodの女性・単数・対格。
indulgentiam: indulgentia,-ae f.(甘やかし)の単数・対格。
vocāmus: vocō,-āre(呼ぶ)の直説法・能動態・現在、1人称複数。
nervōs: nervus,-ī m.(腱<けん>、筋)の複数・対格。
mentis: mens,mentis f.(心)の単数・属格。nervōsにかかる。
et: 「そして」。mentisとcorporisをつなぐ。
corporis: corpus,-poris n.(体)の単数・属格。nervōsにかかる。
frangit: frangō,-ere(砕く)の直説法・能動態・現在、3人称単数。

逐語訳

我々が「甘やかし」(indulgentiam)と呼ぶ(vocāmus)ところの(quam)あの(illa)柔弱な(Mollis)教育は(ēducātiō)、心(mentis)と(et)体の(corporis)筋を(nervōs)砕く(frangit)。

和訳

あの甘やかしという軟弱なしつけ方、あれが心身のあらゆる筋をずたずたにしてしまうのだ。(柳沼重剛訳)

クィンティリアーヌス『弁論術教程』第一巻2.6に見られる表現です。『ギリシャ・ローマ名言集』4番目のラテン語です。
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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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