語彙と文法
「ネーモー・ナスキトゥル・ディーウェス」と読みます。
Nēmōはnēmō(誰も~ない)の単数・主格です。英語のNobodyに相当します。
nasciturは形式受動態動詞nascor,-scī(生まれる)の直説法・現在、3人称単数です。
dīvesは第3変化形容詞dīves,-vitis(金持ちの)の男性・単数・主格で、述語的に用いられています。「金持ちの状態で」。
「誰も(Nēmō)金持ちの状態で(dīves)生まれ(nascitur)ない」と訳せます。
「誰も生まれる時は金持ちではない」という意味です。
セネカの『倫理書簡集』20にみられる言葉です。
(本当の意味は違うようですが)禅語の「本来無一物」を想起します。執着を超えた自由な心の世界を尊んだ点で、セネカの教えは禅の考えと共通する部分が少なくないと感じられます。
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