Nemo nascitur dives.

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語彙と文法

「ネーモー・ナスキトゥル・ディーウェス」と読みます。
Nēmōはnēmō(誰も~ない)の単数・主格です。英語のNobodyに相当します。
nasciturは形式受動態動詞nascor,-scī(生まれる)の直説法・現在、3人称単数です。
dīvesは第3変化形容詞dīves,-vitis(金持ちの)の男性・単数・主格で、述語的に用いられています。「金持ちの状態で」。
「誰も(Nēmō)金持ちの状態で(dīves)生まれ(nascitur)ない」と訳せます。
「誰も生まれる時は金持ちではない」という意味です。
セネカの『倫理書簡集』20にみられる言葉です。

(本当の意味は違うようですが)禅語の「本来無一物」を想起します。執着を超えた自由な心の世界を尊んだ点で、セネカの教えは禅の考えと共通する部分が少なくないと感じられます。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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