語彙と文法
「ファータ・オプスタント」と読みます。
fāta は「運命」を意味する第2変化名詞 fātum,-ī n. の複数・主格です。
obstant は「反対する、邪魔する」を意味する第1変化動詞 obstō,-āre の直説法・能動態・現在、3人称複数です。
「運命が邪魔をする」という意味です。
文脈紹介
ウェルギリウスの『アエネーイス』第4巻に見られる表現です(Aen.4.440)。
ユッピテルの命令に従い、ディードーのもとを去り、イタリアを目指そうとするアエネーアース。ディードーの懇願に対し聞く耳をもちません。なぜなら、Fāta obstant. 運命が邪魔をするからです。
fortūna(運命、運、幸運、不運)と異なり、fāta(運命)はローマの最高神ユッピテルの意思を反映した言葉です。
ディードーの悲劇的な結末は歌曲の題材 (Dido’s lament) にもなりました。
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