Fata obstant.

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カルタゴの女王ディードーの自害の彫刻

語彙と文法

「ファータ・オプスタント」と読みます。
fāta は「運命」を意味する第2変化名詞 fātum,-ī n. の複数・主格です。
obstant は「反対する、邪魔する」を意味する第1変化動詞 obstō,-āre の直説法・能動態・現在、3人称複数です。
運命が邪魔をする」という意味です。

文脈紹介

ウェルギリウスの『アエネーイス』第4巻に見られる表現です(Aen.4.440)。

ユッピテルの命令に従い、ディードーのもとを去り、イタリアを目指そうとするアエネーアース。ディードーの懇願に対し聞く耳をもちません。なぜなら、Fāta obstant. 運命が邪魔をするからです。

fortūna(運命、運、幸運、不運)と異なり、fāta(運命)はローマの最高神ユッピテルの意思を反映した言葉です。

ディードーの悲劇的な結末は歌曲の題材 (Dido’s lament) にもなりました。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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