Spes enim incerti boni nomen est.

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Seneca
セネカ

語彙と文法

「スペース・エニム・インケルティー・ボニー・ノーメン・エスト」と読みます。
spēsはspēs,-eī f.(希望)の単数・主格です。文の主語です。
enimは「というのも」と訳せます。
incertīは第1・第2変化形容詞incertus,-a,-um(不確かな)の中性・単数・属格です。bonīにかかります。
bonīは中性名詞bonum,-ī n.(よきこと)の単数・属格です。nōmenにかかります。
nōmenはnōmen,-minis n.(名前)の単数・主格です。
estは不規則動詞sum,esse(である)の直説法・現在、3人称単数です。
「というのも、希望とは不確かなよきことの名前であるから」と訳せます。
「よきこと」とはたとえば将来の成功(ジャンルは何でも)だとすればわかりやすくなるでしょう。
セネカの『倫理書簡集』に見られる言葉です(Sen.Ep.10)。

言葉の解釈

セネカは「希望」をネガティブな言葉としてとらえています。「こうなればいいな、ああできればいいな」という「希望」は、言い方を変えると、「こうならなければどうしよう、ああできなければどうしよう」という不安と紙一重だからです。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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