Vita sine litteris mors est. 学問なき人生は死

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Vita sine litteris mors est.学問なき人生は死

タイトルの日本語訳を読むとドキッとしますが、人生にとって学ぶことの大事さを強調した格言と受け止めることができます。学問や知識を尊ぶラテン語の格言に、Scientia est potentia.(知は力なり)やScientia nōbilitat. (知識は高貴にする)などがあります。

それでは、表題の言葉について、ラテン語の一字一句と照らし合わせて意味を再確認してみましょう。

語彙と文法

「ウィータ・シネ・リッテリース・モルス・エスト」と読みます。
vītaは「人生」を意味する第1変化名詞 vīta,-ae f.の単数・主格です。
sineは「~なしに」を意味する奪格支配の前置詞です。
litterīsは「文学、学問、教養」を意味する第1変化名詞 littera,-ae f.の複数・奪格です。
morsは「死」を意味する第3変化名詞 mors,mortis f.の単数・主格です。
estは「~である」を意味する不規則動詞 sum, esseの直説法・現在、3人称単数です。
「学問(文学、教養)なき人生は死である」と訳せます。
アデルフィ大学の校訓です。

ラテン語で人気のある校訓は?」もあわせてお読みください。

タイトルのラテン語に二つの第1変化名詞が用いられています。rosa,-ae f.(バラ)と同じ変化になりますが、具体的にどうなるでしょうか。litteraの変化は次のようになります。

第1変化名詞littera,-ae f.(文字)

単数複数
主格(呼格)litteralitterae
属格litteraelitterārum
与格litteraelitterīs
対格litteramlitterās
奪格litterālitterīs
littera,-ae f.文字

littera,-ae f.(文字)の意味

litteraを手元の『羅和辞典』で引いた時の訳語を紹介します。この例でわかるとおり、ラテン語は1語のもつ意味の幅が大きいです。

1. 文字。
2. (複数)学問の初歩、読み書き。
3. 筆跡。
4. (複数)文書、書類。
5. (複数)手紙、書簡、書状、ひとくだり、一筆。
6. 証書。
7. 帳簿。
8. 墓碑銘、碑文。
9. 公文書、記録。
10. 布告、辞令。
11. 作品、著作、著述(文筆)活動。
12. 知識、学問、教養、博識。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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