ラテン語格言

Nec vero terrae ferre omnes omnia possunt.

「ネク・ウェーロー・テッラエ・フェッレ・オムネース・オムニア・ポッスント」と読みます。
necは「そして~でない」を意味します。omnesを否定します。いわゆる部分否定になります。
veroは「しかし」を意味する接続詞です。
terraeは terra,-ae f.(土地)の複数・主格です。文の主語です。
ferreは不規則動詞fero,ferre(生む)の不定法・能動態・現在です。
omnesは第3変化形容詞omnis,-e(すべての)の女性・複数・主格です。terraeにかかります。
omniaは第3変化形容詞omnis,-e(すべての)の中性・複数・対格です。ferreの目的語です。名詞扱いされています。「すべてのものを」。
possuntは不規則動詞 possum,posse(~できる)の直説法・能動態・現在、3人称複数です。
「しかし(vero)すべての(omnes)土地が(terrae)すべてのものを(omnia)生むことは(ferre)でき(possunt)ない(Nec)」と訳せます。
原文では、それぞれの土地はそれぞれの土地にふさわしい作物を生み出すという意味のことが言われています。

<余談>
否定辞Nec以下だけに着目すると、「すべての土地はすべてのものを生むことができる」と訳せます。これは前作『牧歌』第4歌で描いた黄金時代を特徴づける表現(Ecl.4.39 omnis feret omnia tellus. すべての土地がすべてを生むだろう)を想起させます。Necは、「今は黄金時代<ではない>」と伝えているようです。実際、『農耕詩』における重要な主張の一つは、第1巻のはじめで表されるように、「今はユッピテルの支配する時代(=ヘシオドスの描く鉄の時代(種族の時代)を思わせる)である、ということです。しかし、Necの働きは「部分否定」である点に注意が必要です。詩人は「今は黄金時代ではない」と述べたいのではなく、現代は、「何もしなくてもすべての収穫が手に入る」黄金時代とは異なり、また、悲惨で惨めな「鉄の時代」とは異なり、多様性が特徴づける(ある意味)豊かな可能性を秘めた時代(知恵と工夫と労働を尽くせば実現できる)だと示唆しているかのようです。

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