Pax paritur bello. 平和は戦争から生まれる:ネポース

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ネポースはローマの伝記作家で、『英雄伝』を書きました。

語彙と文法

「パクス・パリトゥル・ベッロー」と読みます。
pax は「平和」を意味する第3変化名詞pax,pācis f.の単数・主格で、この文の主語です。
paritur は「生む」を意味する pariō,-rere の直説法・受動態・現在、3人称単数です。
bellō は「戦争」を意味する第2変化名詞 bellum,-ī n. の単数・奪格です。ここでは「起源の奪格」と考えられます。
「平和は戦争から生まれる」と訳せます。
ネポースの言葉です(『英雄伝』エパミノンダス、5.4)。

オリジナルの語順はParitur pax bellō.です。

類似表現

似たような表現に、「もし平和を望むなら、戦争を準備せよ」(Sī vīs pācem, parā bellum. )というのがあります(ウェゲティウス)。

キケローに、「私は平和を望まないわけではないが、平和の名に包まれた戦争を恐れるのである」(Nec ego pācem nōlō, sed pācis nōmine bellum involūtum reformīdō.)(ピリッピカ演説、vii, vi 19)という言葉があります。

平和と戦争の対比で言えば、「平和なときはライオン、戦争では鹿」(In pāce leōnēs, in bellō cervī. )という格言もあります。日本語の「内弁慶」のような意味で使われる言葉です。

関連図書

英雄伝 (叢書アレクサンドリア図書館) ネポス 上村 健二・山下太郎

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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