語彙と文法
「ヌンク・エスト・ビベンドゥム・ヌンク・ペデ・リーベロー・プルサンダ・テッルース」と読みます。
nuncは「今」を意味する副詞です。2つ目のnuncも同じ意味です。
estは不規則動詞sum,esseの直説法・現在、3人称単数です。
bibendumはbibō,-ere(飲む)の動形容詞、中性・単数・主格です。
est bibendum の形は、動形容詞の述語的用法(非人称構文)です。「飲むという行為がなされるべきである」というのが直訳です。日本語に直す際は「飲むべきである」と訳すと自然です。
pedeは第3変化名詞pēs,pedis m.(足)の単数・奪格です。「足によって」を意味します。
līberō は「自由な」を意味する第1・第2変化形容詞 līber,-era,-erum の男性・単数・奪格でpede にかかります。あわせると「自由な足取りで」という意味になります(「手段の奪格」)。
pulsanda はpulsō,-āre(打つ、たたく)の動形容詞pulsandus,-a,-umの女性・単数・主格です。主語tellūsと性・数・格が一致します。動詞estを補い、ここに動形容詞の述語的用法を認めます。
tellūsは第3変化名詞tellūs,-ūris f.(大地)の単数・主格です。
全体の意味は、「今こそ(nunc)飲むべし(est bibendum)。今こそ(nunc)自由な(līberō)足で(pede)大地が(tellus)打たれるべき(pulsanda)。」となります。
これはホラーティウスの言葉(『詩集』第1巻37.1)です。
文献案内
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ホラティウス全集
鈴木 一郎
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