ラテン語で「生きる」を意味する一般的な言葉は vīvō(ウィーウォー)です。「万歳!」を意味するイタリア語の「ビバ(viva)!」という表現や、「生き生きとした」という意味の英単語 vivid もラテン語の vīvō (生きる)が語源です。
また、英語圏においては、口頭試験のことを viva voce といいますが、これはラテン語のつづりがそのまま使用される一例です。ちなみに、この表現を直訳すると「生の声で」という意味になります。
さて、表題にあげた vīve は文法的に言えば命令文で「生きよ」という意味になります。たとえば、Vīve hodiē. (今日生きよ)や Vīve memor mortis. (死を忘れずに生きよ)のように使います。オウィディウスの表現に、Vīve memor nostrī.(Her.XI, 125)というのがありますが、これは「私たちのことを忘れずに生きよ」という意味です。「私のことを忘れないで」というのであれば、Vīve memor meī. です。
vīvō が vīvāmus と活用すると(「接続法・能動態・現在、1人称複数」に活用すると)、「一緒に生きよう」(英語で言うと Let’s live)という意味になります。この表現はカトゥルスの『詩集』第5歌の冒頭に使われています。
Vīvāmus, mea Lesbia, atque amēmus, ともに生きよう、愛しのレスビア、そして愛し合おう。
有名な詩なので、詩の全体を訳でご紹介します。
ともに生きようよ、愛しのレスビア、そして愛し合おう。
頭の固い年寄りの陰口はみんな1アスの値打ちもないと考えようよ。
太陽は沈んでもまた昇る。
ぼくたちは、いったん短い光が沈んだら、
永遠に続くひとつの夜を眠らないといけない。
ぼくに千の口づけをおくれ、それから百。
つづいてまた千。そして百。
それからまた千。つづけて百。
こうやって何千もの口づけをかわしたら、
あとは何が何だかわからないように、
また口づけの数がこんなにも多いことを知って、
だれか性質(たち)の悪い男がねたまぬように、
数をごちゃごちゃにしてしまおう。
ラテン語で「国王万歳」と言う時は、Vivat rex! という形で表現します。rex にあたる単語が複数なら Vivant rex et regina! (国王、女王万歳!)のようにします。