Nihil agendo homines male agere discunt.

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語彙と文法

「ニヒル・アゲンドー・ホミネース・マレ・アゲレ・ディスクント」と読みます。
nihil は代名詞的形容詞・中性・単数・対格です。英語の nothing に対応する言葉で agendō の目的語になっています。
agendō は「行う」を意味する第3変化動詞 agō,-ere の動名詞・奪格です。「行うことによって」と訳せます。
hominēs は「人間」を意味する第3変化名詞 homō,-minis c. の複数・主格です。
male は「悪く」という意味の副詞です。
agere は先に述べた動詞 agō の不定法・能動態・現在で、discunt の目的語です。不定法は中性・単数の名詞扱いします。
discunt は「学ぶ」という意味の第3変化動詞 discō,-ere の直説法・能動態・現在、3人称複数です。主語は hominēs です。
「人間は何もなさないことによって、悪く行うことを学ぶ。」が直訳になります。
「悪く行う」とは「悪事をなす」という意味で解釈されます。
小人閑居して不善をなす」と意訳できます。
これはコルメッラの『農業論』に見られる言葉です。

文献案内

Columella: On Agriculture, Volume I, Books I-IV (Loeb Classical Library No. 361)
Columella Harrison Boyd Ash
0674993985

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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