「ナム・リースー・イネプトー・レース・イネプティオル・ヌッラ・エスト」と読みます。
ラテン語の単語と対応させながら訳すと、「実際(nam)いかなるものも(res…nulla)場違いな(inepto)笑い以上に(risu)場違いなものは(ineptiror)何もない。」となります。
res は nulla とともにこの文の主語になっています。
nulla は第一・第二変化形容詞 nullus, -a, -um の女性・単数・主格で res にかかります。res は英語の thing の意味を持ち、nulla は英語の no に当たりますので、両者をあわせると、文字通り nothing と同じ意味を持つと考えて良いでしょう。
この文の動詞は est です(sum の現在・三人称・単数)。
補語に相当する形容詞は ineptior ですが、これは ineptus の比較級(女性・単数・主格)です(比較級の変化において、男性と女性は同じ形です)。
risu inepto についてですが、まず risu は「笑い」を意味する第4変化名詞 risus の男性・単数・奪格です。
inepto (場違いな)は risu を修飾する形容詞として、risu と性・数・格が一致しています。
risu が奪格になる理由は、この言葉が比較の対象となっているからです。英語ですと、比較級 + than + A となるのですが、ラテン語ではこのように奪格一語で、英語の than + A を言い表すことができます。
risu inepto だけを訳せば「場違いな笑いよりも」となります。
カトゥッルス『詩集』第39、16に見られる言葉です。
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