Jucunda memoria est praeteritorum malorum.

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「ユークンダ・メモリア・エスト・プラエテリトールム・マロールム」と読みます。
jūcunda は「楽しい」を意味する第1・第2変化形容詞 jūcundus, -a, -um の女性・単数・主格です。
memoria は「思い出」を意味する第1変化名詞memoria,-ae f.の単数・主格で、この文の主語です。
praeteritōrum は「過ぎ去った、過去の」を意味する第1・第2変化形容詞 praeteritus, -a, -um の中性・複数・属格で malorum を修飾します。
malorum は「災い」を意味する第二変化中性名詞 malum の複数・属格で memoria にかかります。
「 過ぎ去った苦しみの思い出は快い(喜びに変わる)」という意味になります。
キケローの『善と悪の究極について』に見られる言葉です(De Finibus 2.105)。

キケロー選集〈10〉哲学III―善と悪の究極について
キケロー Marcus Tullius Cicero
4000922602

<余談>
ウェルギリウスの『アエネーイス』において、主人公は部下に向かって「今の苦しみを思い出して喜べる日も訪れる」と励まします。キケローの言葉から、このシーンを思い出します。

アエネーイス (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 岡 道男
4876981264

Cicero

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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