語彙と文法
「デウス・エラト・ウェルブム」と読みます。
deusは「神」を意味する第2変化名詞 deus,-ī m.の単数・主格です。
eratは不規則動詞 sum,esse(である)の直説法・未完了過去、3人称単数です。「~であった」。
verbumは「言葉」を意味する第2変化名詞 verbum,-ī n.の単数・主格です。
『新約聖書』「ヨハネ伝」1章1節の言葉です。
ラテン語の語順
Deusも verbumもともに主格です。どちらがこの文の主語なのでしょうか。ラテン語の場合語順は自由なので、文法的には「神は言葉であった」とも「言葉は神であった」とも訳せます。ただし、元のギリシア語の表現から、「言葉」が主語とわかります(ギリシア語は主語に冠詞がつきます)。
一般にラテン語のA est B.の構文は、「AはBである」とも「BはAである」ともどちらでも訳すことができます。どちらがよいかは文脈に照らして判断することになります。