Tu ne cede malis, sed contra audentior ito.

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「トゥー・ネー・ケーデ・マリース・セド・コントラー・アウデンティオル・イートー」と読みます。
tūは2人称単数の人称代名詞、単数・主格です。
nēは命令法の動詞(cēde)を伴い、「~するな」を意味します。
cēdeは「<与格>に屈する」を意味する第3変化動詞cēdō,-ere の命令法・能動態・現在、2人称単数です。
malīsは「困難」を意味する第2変化名詞malum,-ī n. の複数・与格です。
contrāは「逆に」を意味する副詞です。
audentiorは第3変化形容詞audens,-entis(勇敢な)の比較級、男性・単数・主格です(副詞的用法)。
ītōは「行く」を意味する不規則動詞eō,-īreの命令法・能動態・未来、2人称単数です。
「おまえは困難に屈することなく、逆にいっそう勇敢に行け(立ち向かえ)」と訳せます。
「そなたはしかし、災いにひるむな。いっそう果敢に立ち向かえ」(岡・高橋訳)。
ウェルギリウスの『アエネーイス』に見られる表現です(Verg.Aen.6.95)。
巫女シビュッラが主人公アエネーアースを励まして口にするセリフです。
同時に詩人はこの言葉が同時代の読者へのメッセージ、励ましになることも計算していたと思われます。

<参考>
この一行は叙事詩の韻律で書かれています。以下のように韻律を分析できます。
Tū nē | cēde ma | līs, sed | contr(ā) au | dentior | ītō.

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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