語彙と文法
「シー・クォティエンス・ホミネース・ペッカント・スア・フルミナ・ミッタト・ユッピテル・エクシグオー・テンポレ・イネルミス・エリト」と読みます。
sīは「もしも」を意味する接続詞です。
quotiensは「~するほどたびたび」を意味する関係副詞です。totiens(それだけしばしば)とペアで使われる表現ですが、多くの場合totiensは省略されます。
hominēsは第3変化名詞homō,-minis c. の複数・主格です。
peccantは「過ちを犯す」を意味する第1変化動詞peccō,-āre の直説法・能動態・現在、3人称複数です。
suaは所有形容詞の3人称 suus,-a,-umの中性・複数・対格です。
fulminaは「雷」を意味する第3変化中性名詞fulmen,-minis n. の複数・対格です。
mittatは「送る、投げる」を意味する第3変化動詞mittō,-ere の接続法・能動態・現在、3人称単数です。
ここまでを整理すると、「もし(si)人間が過ちを犯すたびユッピテルが自分の雷を投げるなら」。
exiguōは「短い」を意味する第1・第2変化形容詞exiguus,-a,-umの中性・単数・奪格です。
temporeは「時間」を意味する第3変化中性名詞tempus,-poris n. の単数・奪格です。「時間の奪格」になります。
inermisは「丸腰の」を意味する第3変化形容詞inermins,-eの男性・単数・主格です。
eritはsum,esse の直説法・能動態・未来、3人称単数です。
後半の訳は、「短時間のうちに彼は(=ユッピテルは)丸腰になるだろう」。
オウィディウスの『悲しみの歌』に見られる表現です(Ov.Tr.2.1.33-34)。
文献案内
悲しみの歌・黒海からの手紙 (西洋古典叢書)
オウィディウス 木村 健治