Mors nec bonum nec malum est.

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Mors nec bonum nec malum est.
セネカ

語彙と文法

「モルス・ネク・ボヌム・ネク・マルム・エスト」と読みます。
morsは「死」を意味する第3変化名詞mors,mortis f.の単数・主格です。
bonumは「善い」を意味する第1・第2変化形容詞ですが、この文ではmorsと性が一致しません。ここでは「善」を意味する中性名詞(単数・主格)として用いられています。
malumも本来は「悪い」を意味する第1・第2変化形容詞ですが、この文では「悪」を意味する中性名詞、単数・主格として用いられています。
nec A nec B の構文で、「AでもBでもない」となります。
estは不規則動詞sum,esse(である)の直説法・現在、3人称単数です。
「死は善でも悪でもない」と訳せます。
セネカの『マルキアへの慰め』に見られる表現です(Sen.Marc.19.5)。

文献案内

セネカの残した言葉をたいへんわかりやすく紹介したものとして、中野孝次氏の『ローマの鉄人 セネカの言葉』をご紹介します。

ローマの哲人 セネカの言葉
中野 孝次
4000025856

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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