Nescit naturam mutare pecunia puram.

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語彙と文法

「ネスキト・ナートゥーラム・ムーターレ・ペクーニア・プーラム」と読みます。
nescitは「知らない」を意味する第4変化動詞nesciō,-īre の直説法・能動態・現在、3人称単数ですが、不定法を伴い、「~できない」という意味を表します。
nātūramは「自然、性質」を意味する第1変化名詞 nātūraの単数・対格です。mūtāreの目的語です。
mūtāreは「変える」を意味する第1変化動詞mūtō,-āre の不定法・能動態・現在です。nescitがこの不定法を要求しています。
pecūniaは「金銭」を意味する第1変化名詞pecūnia,-ae f.の単数・主格です。文の主語です。
pūramは「清らかな、清廉な」を意味する第1・第2変化形容詞 pūrus,-a,-um の女性・単数・対格です。nātūramにかかります。
「金銭は清廉潔白な性格を変えることはできない」と訳せます。
ローマの詩人ティブッルス(BC55頃-BC19頃)の表現です(Tib.3.33)。

第1変化名詞nātūra,-ae f.(自然)の変化

単数複数
主格(呼格)nātūranātūrae
属格nātūraenātūrārum
与格nātūraenātūrīs
対格nātūramnātūrās
奪格nātūrānātūrīs

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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