ラテン語格言

Forsan et haec olim meminisse juvabit.

2013年4月1日

「フォルサン・エト・ハエク・オーリム・メミニッセ・ユウァービト」と読みます。
forsan は「恐らく」を意味する副詞です。
et は「~も、さえ」と訳せます。
haecは「これ」を意味する指示代名詞 hic,haec,hoc の中性・複数・対格です。meminisseの目的語です。
ōlim は英語のone day(いつか)の意味を持つ副詞です。
meminisse は「思い出す」を意味する動詞 meminī,meminisse の不定法・能動態・完了です。形は完了ですが、意味は現在です。この不定法が文の主語です。
juvābit は「喜ばせる」を意味する第1変化動詞 juvō,-āre の直接法・能動態・未来、3人称単数です。
「いつかこれらのことを思い出すことも、喜びとなるだろう。」という意味です。
ウェルギリウスの『アエネーイス』に見られる言葉です(Aen.1.203)。
この言葉は主人公アエネーアースが部下を励ます際に用いられたものです。
その励ましの言葉は次のような内容です。

1.98-207
「仲間の者たちよ、われわれはこれまで不幸を知らぬわけではない、
おお、もっと大きな苦しみに耐えた者たちよ、神はこの苦しみにも終わりを与えよう。
おまえたちは、スキュラの狂乱と深い音をとどろかせる 200
岩礁(*)に近づき、さらにはキュクロープス(*)の岩山までも
経験した。勇気を奮い起こせ。悲しみと恐怖を
追い払うがよい。きっと、これらの苦しみも思い出して喜べる日が訪れるだろう。
さまざまな苦難を乗り越え、これほど多くの危機を克服しながら
われわれはラティウムを目指している。そこに安住の地があると 205
運命が教えるからだ。その地でトロイアの王国がよみがえることこそ神の意志なのだ。
耐えよ。そして幸せな日々のためにわが身を大切にせよ」。

「これらの苦しみ<も>やがては思い出に変わる」ということは今迄にもそのような経験があるということですが、そう考えると、今の目の前の困難を乗り越えた先に<も>また新たな困難が待ち受けることを示唆しています。まさに人生は苦労の連続であり、「一難去ってまた一難」であります。実際、『アエネーイス』の展開において、主人公らはカルターゴーに漂着し、そこで最初は救われ安堵するものの、その後想像もできない困難に直面します。その難局はユッピテル(ゼウス)の介入で乗り越えますが、その後主人公を待ち受けるのはラティウムの地における壮絶な戦争の日々でした。

アエネーイス (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 岡 道男
4876981264

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