Cum rerum natura delibera: illa dicet tibi et diem fecisse se et noctem.

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「クム・レールム・ナートゥーラー・デーリーベラー」と読みます。
cumは英語のwithに相当する奪格支配の前置詞です。
rērumは「事物」を意味する第5変化名詞rēs,reī f.の複数・属格です。nātūraにかかります。
nātūraは「自然、本性」を意味する第1変化名詞nātūra,-ae f.の単数・奪格です。
dēlīberāは「相談する」を意味する第1変化動詞dēlīberō,-āre の命令法・能動態・現在、2人称単数です。
ここまでを訳すと、「事物の本性と相談せよ」となります。
rērum nātūraは訳しづらい表現です。ルクレーティウスの同名の書(De Rerum Natura)も様々な訳されかたをします。言うなれば「森羅万象、自然界の法、理(ことわり)」を表します。
岩波書店の高橋訳では「自然の理」となっています。

後半は、「イッラ・ディーケト・ティビ・エト・ディエム・フェーキッセ・セー・エト・ノクテム」と読みます。illaはnātūraを指す指示代名詞です。指示代名詞ille,illa,illud の女性・単数・主格です。
dīcetは「言う」を意味する第3変化動詞dīcō,-ere の直説法・能動態・未来、3人称単数です。
tibiは2人称単数の人称代名詞tūの与格です。
diemは「日」を意味する第5変化名詞diēs,-ēī m.の単数・対格です。fēcisseの目的語です。
fēcisseは「作る、なす」を意味する第3変化B動詞faciō,-ere の不定法・能動態・完了です。
sē は再帰代名詞の3人称、単数・対格です。fēcisseの意味上の主語です。
noctemは「夜」を意味する第3変化名詞nox,noctis f.の単数・対格です。fēcisseの目的語です。
後半を訳すと、「それ(自然)はあなたに言うだろう、自分は昼も夜も作った、と」となります。
原文を見ると、昼は仕事の時間、夜は休息の時間という意味で使われていることがわかります。自然の理に照らすとき、それは人間に労働の時間だけでなく休息の時間も用意しているという意味です。
セネカの『倫理書簡集』に見られる言葉です(Ep.3.6)。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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