Nudi enim sunt, recti et venusti, omni ornatu orationis tamquam veste detracta.

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Cicero
Cicero

「ヌーディー・エニム・スント・レクティー・エト・ウェヌスティー・オムニー・オルナートゥー・オーラーティオーニス・タムクァム・ウェステ・デートラクター」と読みます。
nūdī は「裸の」を意味する第1・第2変化形容詞、nūdus, -a, -um の男性・複数・主格です。原文の先行箇所から補うと、主語はカエサルの書いた作品となります。
enim は「というのは、じつに」と訳せます。
rectī は「まっすぐな」を意味する第1・第2変化形容詞 rectus, -a, -um の男性・複数・主格です。
venustī は「優美な」を意味する第1・第2変化形容詞 venustus, -a, -um の男性・複数・主格です。
omnī は「すべての」を意味する第3変化形容詞 omnis,-e の男性・単数・奪格です。
ornātū は「装飾」を意味する第4変化名詞 ornātus,-ūs m. の単数・奪格です。
ōrātiōnis は「言論」を意味する第3変化名詞 ōrātiō,-ōnis f. の単数・属格で ornātū にかかります。
tamquam は「あたかも~のように」を意味します。
veste は「衣服」を意味する第3変化名詞 vestis,-is f. の単数・奪格です。
dētractā は「脱ぎ捨てる」を意味する第3変化動詞 dētrahō の完了分詞、女性・単数・奪格です。veste dētractā のセットで、いわゆる「絶対的奪格」と呼ばれる表現を作ります。「衣服が脱ぎ捨てられて」と訳せます。日本語に直すときは「衣服を脱ぎ捨てて」と能動で訳すとわかりやすいです。tamquam とあわせると「まるで衣服を脱ぎ捨てるかのように」と訳すと自然です。
一方、omnī ornātū についても、いずれも奪格であることに気づきます。dētractō (dētrahōの完了分詞の男性・単数・奪格)が省略されていて、ここにも「絶対的奪格」が認められます。「すべての装飾が脱ぎ捨てられて」と訳せます。
「(カエサルの文体は)衣服を脱ぎ捨てたかのように、あらゆる言葉の装飾を捨て、まっすぐで優美である」と訳せます。
キケローの『ブルートゥス』に見られる表現です。

キケロー

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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