Honos habet onus.

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「ホノース・ハベト・オヌス」と読みます。
honōs は「名誉」を意味する第3変化名詞honōs,-ōris m.の単数・主格です。
habet は「持つ」を意味する第2変化動詞 habeō,-ēre の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
onus は「重荷」を意味する第3変化名詞 onus,oneris n. の単数・対格です。
「名誉は重荷を持つ」と訳せます。
重荷とは責任のことで、社会の中で高い名誉を有する者は相応の責任を負うという考えが示されています。
いわゆる「ノブレス・オブリージュ」の考えですね。

「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)」

この言葉の魅力は、意味だけでなく音にもあります。honōs(名誉)と onus(重荷)はよく似た響きをもちます。名誉と重荷という異なる意味の二語を音の上でも結びつけることで、「名誉と責任は切り離せない」という考えを印象深く伝えています。

この考え方は、フランス語で知られる「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)」にも通じます。「高い身分にはそれに伴う義務がある」という意味で、社会的に恵まれた立場にある人には、それにふさわしい振る舞いと責任が求められるという考え方です。これは貴族社会だけの話ではなく、現代においても、指導的な立場や公共的な責任を担う人に通じる考えでしょう。

ラテン語には、Honōs alit artēs.(名誉は学芸を養う)というキケローの言葉もあります(『トゥスクルム荘対談集』1.4)。キケローは、人は名誉や評価によって学問や芸術への意欲をかき立てられると述べています。こちらでは名誉が人を励ます力が語られていますが、Honōs habet onus. は、その名誉には同時に重さも伴うことを教えています。

現代においても、「名誉」は単なる称賛ではありません。人から信頼され、ある役割を任されるということは、それだけ責任も大きくなるということです。教師や上司、組織の責任者など、人を導いたり支えたりする立場にある者には、その役割にふさわしい判断と行動が求められます。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー『神々の本性について』(岩波書店)、ネポース『英雄伝』(講談社学術文庫)、プラウトゥス『カシナ』、テレンティウス『兄弟』、ルクレ―ティウス『事物の本性について』(いずれも京都大学学術出版会)。単著に『ローマ人の名言88』(牧野出版)、『しっかり学ぶ初級ラテン語』、『しっかり身につくラテン語トレーニングブック』、『ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」』(いずれもベレ出版)、『お山の幼稚園で育つ』(世界思想社)。

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