Musa, mihi causas memora.

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「ムーサ・ミヒ・カウサース・メモラー」と読みます。
これはウェルギリウスの『アエネーイス』に出てくる言葉です。
元の詩の韻律に照らすとmihīは「ミヒー」と読むことがわかります。mihiは「ミヒ」と「ミヒー」と二通りの読み方があります。
Mūsa は第1変化女性名詞 Mūsa,-ae f.の単数・呼格です。ムーサは学問、芸術を司る九人の女神の一人を意味します。
mihī は1人称の人称代名詞、与格です。「私に」。
causās は「原因、理由」を意味する第1変化名詞causa,-ae f. の複数・対格で、memorā の目的語になります。
memorā は「語る」を意味する第1変化動詞memorō,-āre の命令法・能動態・現在、2人称単数です。
「ムーサよ、私にその理由を語れ」と訳せます。
何の理由か気になりますね。原文は次の通りです。

8-11
Musa, mihi causas memora, quo numine laeso,
quidue dolens regina deum tot uoluere casus
insignem pietate uirum, tot adire labores 10
impulerit. tantaene animis caelestibus irae?

ムーサよ、わたしに理由を語れ。神々の女王ユーノーは、
いかなる意志を妨げられ、何に怒りを覚えて、
ひときわ敬虔な男が、これほどの苦難を味わうように
駆り立てたのか。神々の胸中にこれほどの怒りが宿るものなのか。

有名な『アエネーイス』冒頭の一節です。

アエネーイス (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 岡 道男・高橋宏幸

ウェルギリウス

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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