Nec quae praeteriit iterum revocabitur unda, nec quae praeteriit hora redire potest.

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「ネク・クゥァエ・プラエテリイト・イテルム・レウォカービトゥル・ウンダ・ネク・クゥァエ・プラエテリイト・ホーラ・レディーレ・ポテスト」と読みます。
Nec A nec Bの構文です。AもBもその内容が否定されます。
quae はundaを先行詞とする関係代名詞、女性・単数・主格です。
praeteriitは「過ぎる」を意味する不規則動詞(praeter+eo)praetereoの直説法・能動態・完了、3人称単数です。
iterumは「再び」を意味する副詞です。
revocabiturは「呼び戻す」を意味する第1変化動詞 revocoの直説法・受動態・未来、3人称単数です。
undaは「水、川の流れ」を意味する第1変化名詞 unda,-ae f. の単数・主格です。
horaは「時間」を意味する第1変化名詞 hora,-ae f. の単数・主格です。
redireは「戻る」を意味する不規則動詞 redeo(re-+eo)の不定法・能動態・現在です。
potestは「<不定法>が可能である」を意味する不規則動詞possumの直説法・能動態・現在、3人称単数です。
「通り過ぎた川の流れは再び呼び戻されないし、過ぎた時間は戻ることができない」と訳せます。
オウィディウスの『恋の技術』に見られる表現です(A.A.3.63-64)。

恋愛指南―アルス・アマトリア (岩波文庫)
オウィディウス Ovidius
4003212037

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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