Dabit deus his quoque finem.

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「ダビト・デウス・ヒース・クゥォクゥェ・フィーネム」と読みます。
dabit は「与える」を意味する不規則動詞 dō,dare の直説法・能動態・未来、3人称単数です。
deusは「神」を意味する第2変化名詞deus,-ī m.の単数・主格です。
hīs は「これ」を意味する指示代名詞 hic,haec,hocの中性・複数・与格です。
元の詩を見ますと、1行前のmalōrum(様々な困難、苦しみ)を指しているため、中性と判断します。
hīs の次にmalīs(malumの複数・与格)を補うとよいでしょう。この場合、hīsは指示形容詞で、省略されたmalīsにかかると判断します。「これらの(hīs)苦しみに(malīs)」。
quoque は英語の also に相当します。「~もまた」。
fīnem は、「終わり」を意味する第3変化名詞 fīnis,-is c. の単数・対格で、dabit の目的語です。
「神はこれらの苦しみにも終わりを与えるだろう」という意味です。
ウェルギリウスの『アエネーイス』に見られる言葉です(Aen.1.199)。
この言葉については、『ギリシア・ローマ名言集』(p.108-109)をご参照下さい。著者の語る恩師ケネス・ドーヴァー先生の第2次世界大戦での経験談は心にしみいります。
この台詞を含むバックグラウンドはこちらで解説しています。
>>「今の苦しみを思い出して喜べる日も訪れる」

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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