Verbum semel emissum volat irrevocabile.

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ホラーティウス

「ウェルブム・セメル・エーミッスム・ウォラト・イッレウォカービレ」と読みます。
verbum は「言葉」を意味する第2変化名詞 verbum,-ī n.の単数・主格です。
semel は「ひとたび」を意味する副詞です。
ēmissum は「送り出す、放つ」を意味する第3変化動詞 ēmittō,-ere の完了分詞でverbum と性・数・格が一致します。「放たれた言葉は」と訳せます。「言葉は放たれると」と訳すこともできます。
volat は「飛ぶ」を意味する第1変化動詞 volō,-āre の直説法・能動態・現在、3人称単数です。
irrevocābile は「呼び戻せない、取り消せない」を意味する第三変化形容詞 irrevocābilis,-e の中性・単数・主格です。主語の verbum と性・数・格が一致します。この形容詞は副詞的に使われています。
「一度発せられた言葉は取り消せないまま飛んでゆく」と訳せます。または、「言葉は一度発せられると・・・」とも訳せます。
「綸言(りんげん)汗の如し」と同じ趣旨の言葉です。
ホラーティウスの『書簡詩』(1.18.71)に見られる表現です。

同じホラーティウスに Nescit vox missa revertī.(発せられた言葉は戻らない)という言葉があります。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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