Quis fallere possit amantem?

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「クゥィス・ファッレレ・ポッシト・アマンテム」と読みます。
quisは疑問代名詞 quis,quidの男性・単数・主格です。英語のwhoに相当します。この文の主語です。
fallere は動詞 fallo,-ere(欺く)の不定法・能動態・現在です。amantemを目的語に取ります。
possitは不規則動詞 possum(~できる)の接続法・現在・3人称単数です。この接続法は、「そんなことがありえようか(いやない)?」という反語を用意するためのものです。
amantemは、amoの現在分詞 amans の男性(女性)・単数・対格です。「愛する者を」と訳せます。(元の文脈に照らすと女性・単数・対格とみなせます)。
「愛する者をだれが欺くことができるだろう。」という意味です。
この文は、「いくら欺こうとしても、恋人にはピンとくる」という意味で、ウェルギリウスの『アエネーイス』第4歌(296行)に出てきます。amantem は元の文脈ではDido(カルタゴの女王)を指しています。

アエネーイス (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 岡 道男
4876981264

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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