Magnus ab integro saeclorum nascitur ordo.

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「マグヌス・アブ・インテグロー・サエクロールム・ナスキトゥル・オルドー」と読みます。
magnusは「大きな」を意味する第1・第2変化形容詞magnus,-a,-umの男性・単数・主格です。ordoを修飾します。
abは「<奪格>から」を意味する前置詞です。
integrōは「手をつけていない」を意味する第1・第2変化形容詞integer,-gra,-grumの中性・単数・奪格です。
ab integrō で熟語をなし、「新しく」という意味を表します。
saeclōrumは「世紀」を意味する第2変化名詞saeclum,-ī n.の複数・属格です。
nasciturは「生まれる」を意味する形式受動態動詞nascor,-scī の直説法・現在、3人称単数です。
ordōは「秩序」を意味する第3変化名詞ordō,-dinis m.の単数・主格です。
「新たに世紀の大いなる秩序が生まれる」と訳せます。日本語としては、「新たな世紀の大いなる秩序が始まる」とすると通りがよいでしょう。
ウェルギリウスの『牧歌』の第4歌に見られる表現です(Ecl.4.5)。

アメリカの国章に記された“Novus ordo saeclorum”(世紀の新たな秩序)はこのウェルギリウスの表現に基づくと言われます。Novusは第1・第2変化形容詞novus,-a,-um(新しい)の男性・単数・主格でordōにかかります。「世紀の(saeclōrum)新しい(novus)秩序(ordō)」と理解できます。

上の写真のANNUIT COEPTIS(アンヌイト・コエプティース)もウェルギリウスの表現を基にしています。主語は省かれていますが、deus(神)を補うとよいでしょう。annuitはannuō,-ere(<奪格>に同意してうなずく、賛意を表する)の直説法・能動態・現在、3人称単数です。

牧歌/農耕詩 (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 小川 正広
4876981515

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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