語彙と文法
「イプサ・テッルース・オムニア・リーベリウス・フェレーバト」と読みます。
ipsaは「~自身」を意味する強意形容詞ipse,ipsa,ipsumの女性・単数・主格です。tellūsにかかります。
tellūsは「大地」を意味する第3変化名詞tellūs,-ūris f.の単数・主格です。
omniaは「すべての」を意味する第3変化形容詞omnis,-e の中性・複数・対格です。この文では名詞として用いられ、ferēbatの目的語になります。「すべてのものを」と訳します。
līberiusは副詞līberē(自由に)の比較級で、「より自由に、より気前よく」を意味します。
ferēbatは「生む」を意味する不規則動詞ferō,ferre の直説法・能動態・未完了過去、3人称単数です。
「大地は自らすべてのものを(今)より気前よく生み出していた」と訳せます。
ウェルギリウスの『農耕詩』に見られる黄金時代の描写です(Verg.Geo.1.127-128)。
文献案内
牧歌/農耕詩 (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 小川 正広