人の世に注ぐ涙:ウェルギリウス『アエネーイス』

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Sunt lacrimae rerum et mentem mortalia tangunt. ウェルギリウス『アエネイス』1.462

「ここにも人の世に注ぐ涙があり、人間の苦しみは人の心を打つ」(岡道男、高橋宏幸訳)

このラテン語のうち res については「人の世」と解釈され、また、mortalia を「人間の苦しみ」とするのは厳密に言えば意訳ということになります。

『ギリシア人・ローマ人のことば』(中務哲郎、大西英文著)では、「はかなきは人の世の営み、悲運は涙さそいて、胸をうつ」と訳されています。

大西先生の担当箇所と思われます。直訳したのでは意味が通りませんので、それぞれの訳者が自分の解釈をこめて訳しています。確かに、このラテン語は心を込めて訳したい「アエネーイス」の急所の一つです。

アエネーイス (西洋古典叢書)
ウェルギリウス 岡 道男

ウェルギリウス

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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