Fortuna caeca.

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語彙と文法

「フォルトゥーナ・カエカ」と読みます。
Fortūna はfortūna,-ae f.(運命、<大文字で>運命の女神)の単数・主格です。
caecaは第1・第2変化形容詞cacus,-a,-um(盲目の)の女性・単数・主格です。
動詞est(である)が省かれています。estは不規則動詞sum,esseの直説法・現在、3人称単数です。
「運命(or 運命の女神)は盲目である」と訳せます。

補足説明

ラテン語には「運命」を意味するもう一つの名詞があります。fātum,-ī n. という第2変化名詞です。fortūna は不確実であるのに対し、fātumは不動であり、人間の祈りにも動かされません。例えば『アエネーイス』に次の詩行があります。Dēsine fāta deum flectī spērāre precandō. Aen.6.376 懇願することによって、神々の運命が変えられる(動かされる)ことを希望するな。

この文の「運命」はfāta(fātum の複数)です。

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この記事を書いた人

ラテン語愛好家。京都大学助手、京都工芸繊維大学助教授を経て、現在学校法人北白川学園理事長。北白川幼稚園園長。私塾「山の学校」代表。FF8その他ラテン語の訳詩、西洋古典文学の翻訳。キケロー「神々の本性について」、プラウトゥス「カシナ」、テレンティウス「兄弟」、ネポス「英雄伝」等。単著に「ローマ人の名言88」(牧野出版)、「しっかり学ぶ初級ラテン語」、「ラテン語を読む─キケロー「スキーピオーの夢」」(ベレ出版)、「お山の幼稚園で育つ」(世界思想社)。

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